「管理職教育・育成のエキスパート」

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テーマ11 ほめ方、叱り方

アメリカの心理学者アルバート・メラビアンが1971年に提唱した法則に
メラビアンの法則というのがあります。

この法則は、人と人とのコミュニケーションは、態度や身振りなど、身体から
受ける情報が55%、声の大きさや抑揚など、言語ではなく音声から
受ける情報が38%、言語そのものから受ける情報が7%とされています。

メラビアンの法則には、諸説があるようですが、いずれにせよ言語だけが
コミュニケーションの手段ではなく、態度などむしろ言語以外のところで、
私達はたくさんの情報をキャッチしたりキャッチされたりしていることが分かります。

情報のキャッチの仕方、キャッチのされ方に注意し、コミュニケーションを
取ることが重要といえます。

教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方の勉強は、
「部下に最高に生産性の高い仕事をしてもらうための上司としてのマナー」
であり部下とコミュニケーションをとるときの基本となるものです。

教え方、任せ方、聴き方、ほめ方、叱り方の勉強は、部下とコミュニケーションを
とるときに必要とされる、部下の心理を知った上での、上司の気配りでもあります。

■ほめ方

部下のほめ方に関する留意点は、下記のようなことになります。

*ほめられると部下は、自分の仕事に愛着を感じ、誇りを持つようになります。
 よりよい仕事をし、仕事を発展させようと改善工夫も進みます。
 部下の指導の際は、上司としてほめることができるように部下の仕事を
 指導することも重要です。

1.当たり前のことでもほめるのが部下育成の基本姿勢
  ・管理職者の研修において、部下の良い所を3つ、改善すべき点を3つ、
   上げて下さいとお願いすると、改善すべき点は、直ぐ上げることは
   できるのですが、良い所を一つも上げることのできない管理職の方も
   いらっしゃいます。
   当たり前のことでもほめるというのが、部下を育成する場合の
   基本的姿勢として重要です。
  ・「毎日休まずに会社に来てくれている」、「毎日遅刻をせず10分前には
   会社に来てくれている」、「一生懸命仕事をしてくれている」など、
   当たり前のことでも機会があれば、声を掛けほめて上げます。

2.長所、強みを見つけてほめる
  ・人は、自分の得意な分野、強みを中心に成長していくのが、
   理想的と思われます。部下の長所、強みを見つけ、活用し、
   ほめて上げるのが、将来を見据えた部下の育成にとって
   重要なこととなります。

3.心を込めてほめる
  ・口先だけでほめると、心が伝わらず逆効果になることがあります。
   人間味が伝わると部下との心理的距離が縮まり、上司への
   信頼感を高めます。ほめるときは、心を込めることが重要です。

4.タイミングよくほめる
  ・部下の仕事を観察しておき、仕事ができた段階でどうほめるのかを
   あらかじめ考えておきます。ほめるときは何がよかったのかを、
   できるだけ具体的にほめてあげます。具体的にほめてあげると、
   次の仕事の参考になるとともに、次の仕事を行うときの意欲にも
   つながります。

■叱り方

部下を叱るときの注意点としては、下記のようなことが上げられます。

1.自分の感情をコントロールして叱る
  ・部下を叱るときに注意が必要なのは、日頃の自分自身のストレスが
   でてしまい、自分をコントロールできなく、必要以上に感情的になるということです。
   叱る方の上司が必要以上に感情的になると、叱られる方の部下は、
   たまったものでなく、尊敬される上司になるのは難しい状況となります。
  ・部下を叱るときの状況としては、部下本人も充分悪いことは承知しており、
   それでもあえて、言わなければならない状況だと思います。
   まずは、分かっていても叱らなければならない事象に対する、部下の話しを
   聴いてあげることが現実的な対応といえます。
  ・日頃の労をねぎらって、話しを聴いてみて、部下が自分で気づいていない
   ところを注意するというのが最低限のマナーといえます。
  ・部下を叱るときの理想的なプロセスは、
   「ほめる→叱る→アドバイスする→激励する」となります。
   人は、ほめられることに対する反応度よりも叱られることに対する反応度が
   4倍強いと言われ、4つほめてから、1つ叱るというのが基本と言われております。
   よほど冷静でないと、ほめてから叱るというのは、難しいですが、
   上司としてこの位の姿勢が必要といえます。
  ・言葉は、体温で伝わるとも言われますが、叱るときは、厳しさ、温かさなど
   組織の長としての人間味が試されるときでもあります。

2.日常の仕事を認めながら叱る
  ・たまたま今回ミスをしたからといって、今までの仕事の全て否定する
   ような叱り方は、部下の仕事に対する意欲を大きく削ぎます。
  ・「普段は、きちんと仕事をしてくれているのに今回は、どうしたんだ」
   という切り口で話を進めます。
  ・「おまえは、努力不足だ」というような人格を否定するような言い方はせず、
   今回起きた事実に関してだけ叱るようにします。

3.叱るときは別室で叱る
  ・部署全体の気を引き締めようとしたり、自分の権威をみせるなどのため、
   一人の部下を、皆の前で叱る上司の人がいますが、叱られる部下の方は、
   プライドが傷つけられ素直な心で、上司の話は、聴けなくなり
   今後の部下との信頼関係構築も難しくなります。
  ・部下を叱るときは、別室で1対1で叱るのが、上司としてのマナーです。

4.理詰めで追い詰めず最後は前向きな言葉で終える
  ・人間は感情の動物ですので、自分で悪いとは分かっていても、
   最後まで理詰めで言われると素直な気持ちになれないこともあります。
  ・「今回は、しかたがないな」とか「最近は、仕事がたてこんでいたからな」
   とか、部下の心を和らげて上げて、今後とも活躍を期待しているなど
   の前向きな言葉で話を終えるようにします。